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純文学漫画//文学として、様々な漫画を読んでいきます。 そこに込められた作者の思い。 それを読む読者の思い。 たかが、漫画。されど、漫画。
2006/07/28 (Fri) 純文学漫画 第2回 『デトロイトメタルシティ』
デトロイト・メタル・シティ 1 (1) デトロイト・メタル・シティ 1 (1)
若杉 公徳 (2006/05/29)
白泉社
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今回の純文学漫画は、『デトロイトメタルシティ』です。
<あらすじ>
メタルは嫌いだが才能がある主人公が、何故か悪魔系デスメタルバンド「デトロイト・メタル・シティ」(通称DMC)のギターボーカル「クラウザーII世」として活躍する物語
(wikiから引用)

人間とは、常に二面性を持つ生き物では無いでしょうか?
好きと嫌い、強いと弱い、優しいと怖い。
人間とは二面性を持つ生き物です。この作品の主人公は、とても二面性の差が激しいです。カヒミカリィが好きな青年、根岸は『デトロイトメタルシティ』というバンドのギターボーカル。
おしゃれポップ系の音楽が好きな面とデスメタル系の音楽が好きな面。
そのギャップが彼の魅力です。

<文学ポイント1 自分の嫌いな部分>
根岸はデスメタルが嫌いです。しかし、そのデスメタルの方が評価されています。
これは今の現代人にとても多く当てはまるのではないでしょうか。

好きな事は評価されないのに、嫌いな事はちゃんと出来て評価される。

今の時代は、そんな矛盾と不条理に満ちています。世の中が満ちていれば個人の中も満ちています。

<文学ポイント2 ニ重人格と呼ばないで>
根岸にとって、クラウザーとはどういうものなのでしょうか?二重人格なのでしょうか?
これが違います。
一人の人間の中の相対的な人格として二人は存在しています。漫画的に安易な『二重人格』というものを使っていないのがこの作品が文学たる所以です。

私はこの作品に『ジキルとハイド』の影を見ました。あちらは完全に二重人格の悲劇ですが…
物語が破綻しかねないギリギリのバランスで2つの存在を扱っている事や、閉ざされた舞台設定等、ミキシングとしても面白いと思います。

また、夜は漫画漬けみたいです。
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2006/07/18 (Tue) 純文学漫画 第1回『ラブ☆コン』
皆様、初めまして。
日本にはたくさんの素晴らしい文化があります。私は、日本の素晴らしい文化の一つを研究しここに発表していこうと思います。

その素晴らしい文化とは『漫画』。
私は、生まれてから今までたくさんの漫画を読んできました。
その中から感銘を受けたものを紹介、解説、そしてその作品が文学たる所以をあげていきたいと思います。

第一回に紹介する漫画は、こちら。
ラブ★コン (1) ラブ★コン (1)
中原 アヤ (2002/03/25)
集英社
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『ラブ☆コン』です。もうすぐ映画も公開されます。映画『ラブコン』公式サイト

<あらすじ(漫画版)>
身長172cmの小泉リサと、156.2cmの大谷敦士は、
“オール阪神・巨人”なんてコンビ名までつくデコボコ漫才コンビ。
相性占いは100%、趣味もピッタリな(ラッパーのうみぼうず等)2人は、いつもケンカばかりしている。

高1の夏、それぞれに好きな人ができ、それぞれに失恋した2人。

だんだんと大谷の優しさに惹かれていくリサ。
デカい女だって、恋をしたらフツーの女の子。

元カノやライバルが出現したり、想いがなかなか届かなかったりと
気の合う仲間に見守られながらもリサの恋は波乱万丈。

リサと大谷、2人の恋の行方は…。

<ラブ☆コンとは>
現在、「ラブ☆コン」は14巻で約1000万部を数える超人気少女漫画です。
舞台は大阪。言葉の感じとかから南の方でしょうか。

作風としては、結構王道の少女漫画です。では、映画になるほどまでの人気を得たのは何が今までの少女漫画と違うからでしょうか?

【 ラブ☆コンを読み解くキーワード 大阪 】

今まで、関西弁の登場キャラクターはあまりいい扱いを受けていないように思います。
『ケチ』『卑怯』等のキーワードと東京が主役の場合、多くがライバル、又はヴィランといった扱いを受けています。

また、今まで大阪を舞台にした漫画は、古くは『じゃりん子ちえ』等に代表されるコテコテの大阪、ちょっと東の方が舞台でした。
近年になって、少しづつ舞台が西の方に移動してきました。
しかし、やはりスタイリッシュ=大阪という図式はイメージは拭いきれず、少女漫画の舞台になったとしてもそこまで、愛されるものでは無かったです。

『ナニワ金融道』『アベノ橋魔法商店街』等、脇の人気はありましたがメジャー感に欠けるものでした。

【 ラブ☆コンを読み解くキーワード 関西弁 】
方言を喋る女の子はかわいいといいます。
ある種の違和感がそうさせているのでしょうか?
『ラブ☆コン』を読む読者は、大阪を舞台にした、漫画
(教師のマイティなどを除く登場人物のほとんどが関西弁を喋る)
という事に違和感を感じます。

もしかしたら、漫画の世界の関西人は恋をしないと思っているかもしれません。

しかし、『ラブ☆コン』の世界ではみんな、恋をしています。読者にとっては今まで見た事の無い関西の恋愛模様です。
それは、興味となりそこに楽しくも切ない日常を描いていけばもう離れていく事は無いのです。

【 ラブ☆コンを読み解くキーワード 恋愛 】
少女漫画なのですが、その恋愛は非常にシンプルなものです。
友人→好きになる→告る→くっつく
それを丁寧に描く事で多くの共感を呼びました。

大きい女とちび男

これがそのまま、コンプレックスとなりこの作品を面白くしています。
人は誰しもコンプレックスを持っています。
それは、自分ではとても大変なことなのに人からいわせるとどうでもいい事。
この二人は、そんなどうでもいい事を抱えて明るく生きています。
最新刊のリサのおじいちゃんの意地悪はちょっと見ていてイライラしたけれども
コンプレックスをなじられる感じがうまい事描写されていると思いました。

『BOYS BE』の二巻に収録されている話にも背の大きな女性と背の低い男の話が有りました。

『ラブ☆コン』は、二人のコンプレックスをうまい事描いています。
何か、コンプレックスが有って、新しい何かを始められない人や好きな人との間にコンプレックスを感じている人に是非読んでもらいたい作品です。

【文学ポイント】


なぜ、この漫画が文学か?という所なのですが、読後の感覚が『椿姫』だからです。
漂う雰囲気、絡まない歯車、ポイントを切り取っていけば『ラブ☆コン』には、『椿姫』
の遺伝子が流れ込んでいるのです。

ここでそのポイントを述べなくても両作品を読めば、私の思わんとする事はわかると思います。ぜひ、読み比べてみて下さい。